怪物クロフネ“第二のノーザンテースト”になり得る

2021年1月27日 05:30

 JRAで初めて芝とダートのG1を制した怪物クロフネが17日に老衰のため23年の生涯を閉じた。実働1年の太く短い現役生活で日本の競馬にその名の通りの強烈な衝撃を与え、生産部門では一転、ライフタイムの国内最多種付け記録2995頭に象徴されるキープ力を武器に多数の活躍馬を送り出した。「芝」と「ダート」だけでなく、「競走馬」と「種牡馬」というダブルミーニングの“二刀流”を貫いた名馬だった。

 03年産の初年度産駒から朝日杯フューチュリティS勝ちのフサイチリシャールを出した種牡馬クロフネは、第16世代となる現3歳のソダシまで8頭のG1(含むJpn1)勝ち馬を出し、産駒のJRA重賞勝ちは昨年で16年連続となった。最終世代の現2歳の血統登録産駒は38頭で、パーソロンの19年連続の日本記録も十分に射程圏内。これまた継続は力なり、という種牡馬クロフネの神髄だろう。

 前記フサイチリシャール以外にG1を勝った牡馬は今のところNHKマイルCのクラリティスカイのみで、現役後継種牡馬はテイエムジンソク、今年から供用予定のオウケンワールドの2頭。父系の存続は厳しい状況にあるのだが、牝馬優位かつタフネスの権化という属性は、同じノーザンダンサー系の大種牡馬ノーザンテーストを思わせる。今後はノームコア、クロノジェネシスの母となったクロノロジストらの繁殖牝馬を通じて、“第二のノーザンテースト”として存在感を放つことになるはずだ。(サラブレッド血統センター)

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