菊のディープ“復権”? キズナ産駒注目
2025年10月22日 05:30
過去10年の菊花賞馬を父馬別に俯瞰(ふかん)すると、16年サトノダイヤモンドを皮切りに5頭の優勝馬を出したディープインパクトの実績が突出している。00年代に「3勝」と猛威を振るった同じサンデーサイレンス系の菊花賞馬ダンスインザダークから牡馬3冠最終戦の覇権を引き継いだ形だ。
種牡馬ディープインパクトは17年のキセキで「母の父」としても早々と菊花賞を制し、その後も20年アリストテレス、21年オーソクレースと2年連続で2着馬の母の父となった。世代交代も順調に推移すると思われたが、これまで「父の父ディープインパクト」は優勝馬どころか馬券に絡んだ馬さえ出ていない。1歳年長のキングカメハメハが既に前記17年のキセキ、21年タイトルホルダー、23年ドゥレッツァの「父の父」となったのとは対照的で、サイヤーラインとしての支配力に陰りが見える。
今回は東西のトライアルで「父の父ディープインパクト」のキズナ産駒エリキングとレッドバンデが出走権を得た。前者の母ヤングスターは芝2200メートルの豪G1クイーンズランドオークス優勝馬で、3代母ユーザーフレンドリーは英愛オークスと英セントレジャーを制した全欧年度代表馬。後者の母フィオドラも同じく芝2200メートルのG1独オークス馬で、牝系にはニジンスキー、ミルリーフといった古典的長距離血脈がプールされている。どちらも距離延長に血統的な不安はない。
過去5年で4着3回というキズナ産駒だが、第6世代となる現3歳はダート2冠のナチュラルライズを含めて8頭の重賞勝ち馬を擁するビンテージ世代。ちなみにディープインパクト産駒の菊花賞初勝利を挙げたサトノダイヤモンドも第6世代だった。“菊花賞父系”復権の正念場だろう。(サラブレッド血統センター)