【鈴木智】人気馬「負かすとしたら?」穴党の本命決定術

2021年6月3日 08:00

 皐月賞馬エフフォーリアが強いのは百も承知。ただ、そのまま本命を打てないのが穴党のさが。「この馬を負かすとしたらどの馬か?」と考えるところから穴党の作業は始まる。

 まず皐月賞の3馬身差完勝から「皐月賞組の逆転はない」と判断。中2~3週での臨戦となるNHKマイルC、京都新聞杯、ダービートライアル組もローテーション的に厳しいとみて評価を下げた。残るは桜花賞2着のサトノレイナス、毎日杯1、2着のシャフリヤール、グレートマジシャンの3頭。名伯楽・国枝師が牝馬サトノレイナスをあえて挑戦させるのだから勝算は十分あると思った。ただ、人気過熱と判断して▲評価にとどめた。

 毎日杯は1分43秒9のレコード決着。JRA芝1800メートルのレコードタイの走破時計だ。3歳3月の時点でこのタイムをマークするのは異例。首差の接戦を演じた上位2頭は、かなりのポテンシャルを秘めていると思った。レコードで走った反動を考慮し、2頭とも皐月賞をパスしてダービー直行を選択。このローテーションから、両陣営の勝負気配を感じ取った。

 では、どちらを本命にするか。心情的には美浦所属のグレートマジシャンを推したいが、冷静になってもう一度、毎日杯のレースVTRを見直した。シャフリヤールはスタートで後手に回り後方から。中団まで押し上げたが、4角では前がふさがり追いだしがワンテンポ遅れた。前が空くと一瞬で先行馬に取り付く。外からグレートマジシャンが伸びてきて馬体を併せると、そこからもうひと伸びした。馬群を抜け出す時の一瞬の脚の速さ、相手が来るともうひと伸びする勝負根性。これらを見てエフフォーリアに引けを取らない能力の持ち主だと結論付けた。

 さらに最終追い後の藤原英師の言葉、「前走から2カ月あったので、うまく成長したしリラックスもできた。ダービーまで順調。手が掛からなかった点はアドバンテージになると思う」で、自信が確信に変わった。休養明けの馬の仕上げには定評のある同師が、ここまで強気なら好勝負は間違いない。

 レースではエフフォーリアの直後にシャフリヤールがつけてぴったりマーク。この時点で2着は外さないと思った。最後も◎と○の叩き合い。的中という意味では安心して見ていられた。名勝負を堪能し、馬券もゲット。忘れられないダービーになった。 (鈴木 智憲)

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