【天皇賞・秋】パンサラッサ SSフリー異分子
2022年10月26日 05:30 今回の天皇賞で展開面の鍵を握るのはパンサラッサ。昨秋に同じ東京2000メートルのオクトーバーSで逃げ馬として開眼して以降、驚異の粘りを発揮したドバイターフを含めて距離、競馬場、勝ち負けを問わず一度もハナを譲っていない徹底先行型G1ホースである。
パンサラッサの独自性は脚質だけではない。父は常勝ディープインパクトと、し烈なリーディング争いを続けるロードカナロアで、母のミスペンバリーは凱旋門賞馬モンジューを父に持つアイルランド産馬。一見、そのユニークさを見過ごしてしまいがちだが、血統表のどこにもサンデーサイレンスの名が見当たらないのである。
ちなみにサンデーサイレンス血脈を持たない国産芝3歳上G1ホースは21年高松宮記念を制した同じ父のダノンスマッシュ以来で、マイル以上の距離に限ると18年秋の天皇賞馬レイデオロ以来。今回の天皇賞も出走予定馬15頭中14頭までは、血統表2代目から4代目までにサンデーサイレンスが装備されている。「サンデーサイレンス・フリー」のパンサラッサは、いわば血統的には希少種に近い存在。ピーキー(特定の条件下で極めて強い)な逃げ属性は、さもありなんと言えるだろう。
グレード制導入の84年以降、秋の天皇賞を逃げて1位入線した馬は87年ニッポーテイオーのみ。至難の業には違いないのだが“異分子”パンサラッサが常識を覆す可能性は見込んでおきたい。
(サラブレッド血統センター)