【田村】追い切りで並走遅れでもドンッと◎のワケ

2023年7月13日 10:00

 木曜のテーマは競馬。前週に会心ヒットを放った記者が的中へのプロセスを振り返る。今週のヒーローは大阪本社・田村達人記者。中京ダートのプロキオンSは人気の決着だったが、◎○△と本線の印で3連単9310円なら申し分ない。◎ドンフランキーは追い切りで併走遅れ。それでも田村記者が◎を打てた訳とは――。

 5日の栗東トレセンCWコース追い切り。ドンフランキーは3頭で併せ馬を行い、並んでフィニッシュした2頭から1馬身遅れ。先着した1頭は2歳新馬だった。追い切り映像を見ると分かるが、深追いしないまでもしっかり追われており、胸を貸したという雰囲気ではない。純粋に2歳新馬に遅れたもの。となると、遅れた事情は知りたい。

 斉藤崇師に聞くと「思った以上に前2頭が動いたので並べなかった」と返答。

 3頭併せの顔触れはドンフランキー、2歳新馬と、もう1頭は七夕賞出走のオープン馬ヒンドゥタイムズ。ヒンドゥタイムズは調教で走る。この馬が2歳新馬と併走して気分良く駆けたことで、600キロ近い大型馬で追われてから“ビューン”ではなく“グググッ”と加速するドンフランキーは追いつけなかったという寸法だ。トレーナーは「体はしっかり動けていたし、いい状態で臨めますよ」と併せ馬の遅れを意に介さず。これで大丈夫と思ったのが一つ。

 もう一つ、面白い話が聞けた。調教に詳しい先輩記者と雑談した際に、ドンフランキーの併走遅れについて振ってみると「全く問題ない。あの馬は併せて遅れた時の方が走るくらい。強めの負荷をかけることが目的で、先着にこだわってないから」。なるほど、前述したがドンフランキーは600キロ近い超大型馬。調教で相応の負荷をかけるので、追いかける形の併せ馬→追いつけず遅れ…は過去にもあった。今回もそのパターンである、と。これで◎にして間違いないと確信できた。2番人気、単勝4・8倍はむしろおいしい。

 取材は調教師、騎手、助手、厩務員といった関係者に聞くことが第一だが、意外と重宝するのが記者同士の情報交換。普段聞く側の記者は、聞かれる側に回るとみんな「立て板に水」。教えたがりが多いのが特徴だ。調教に詳しい先輩記者の名前も感謝を込めて大々的に明かしたいが「ワシ、ドンちゃん◎じゃなかったから…」と固辞されてしまった。聞いたこちらは◎にしたのに。先輩、次は頑張ってください…と勝者の余裕を見せておく。記者はお調子者が多いのも特徴だ。

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