【田井】秋競馬3週連続3歳重賞的中の秘訣は現場にあり!

2023年9月28日 10:00

 木曜のテーマは競馬。前週に会心ヒットを放った記者が的中へのプロセスを振り返る。今週は東京本社・田井秀一記者が登場。菊花賞TR「神戸新聞杯」で3連単3万4690円を◎△▲でズバリ仕留めた。3週連続で3歳重賞的中と好調の要因は、出走表では分からない“ひと夏の進化”の見極めだ。

 あ~、ダメか。◎サトノグランツの1着固定の馬券を買っていた方のほとんどが、直線半ばでそう思ったことだろう。残り600メートルから10秒7―10秒9の高速ラップが刻まれ、少し置かれ気味になったグランツだったが、ラスト1F12秒0と全馬の脚色が鈍った瞬間にバテない強みでグイッと先頭に躍り出た。同じくスタミナを買った伏兵△サヴォーナが2着に浮上し、配当はちょい跳ね。3連単346・9倍は当日の負けを取り返すには十分すぎた。

 秋競馬が始まってから紫苑S(◎○)、セントライト記念(◎○▲)に続き、3週連続の3歳重賞的中。春の印象をリセットし、夏を越した“今”の馬体を見て予想していることが正解を導き出せている秘訣(ひけつ)だと思う。出走表とどれだけにらめっこしても、放牧中の成長は分からない。トレセンの現場で実物の馬体を見られる記者だからこそ気づけるヒントを紙面に落とし込みたい。常々そう考えているので、9月は自分の仕事に合格点を与えたい。

 今回の予想についても少し。ダービー時のサトノグランツは馬体の流麗さこそNo・1だったが、筋肉量は早熟の同期に大きく水をあけられていた。ただし、サラブレッドが最も変化すると言われる3歳の夏休みを経て、浅胸筋と大腿二頭筋が猛烈に発達。簡単に言えば、胸が大きくなって、太腿がムキムキになっていた。これならダービーで先着を許した1番人気ハーツコンチェルト、2番人気ファントムシーフを逆転できるのではないか、と本命に指名した。最終追いの坂路で楽々と自己ベストを更新していたことで、その進化に気づいた方も多かったのでは。

 前述の通り、馬体派の長所は出走表や前走のレース映像からは分からないことを予想に組み込める点にある。オークス馬リバティアイランドが秋華賞へ、ダービー馬タスティエーラが菊花賞へ直行するように、前哨戦を使わない現代競馬のトレンドはますます加速している。休み明けの取捨には命を懸けているので、ぜひ今後もご注目ください。 (田井 秀一)

特集

この記者のコラム

他の記者のコラム