【小林】好走馬を見つけ出す3つの着眼点とは
2024年10月10日 10:00 木曜のテーマは競馬。前週に会心ヒットを放った記者が、的中へのプロセスを振り返る。今週は毎日王冠で3連単を仕留めた東京本社・小林篤尚が担当。3連単1万7060円を○◎△で仕留めた。枠並び、展開に東京開幕週の馬場傾向から好走馬を浮かび上がらせた。
競馬記者のさがだろうか。今春からデスク業務、昼間出勤から深夜帰宅がパターン。自宅への道すがら、ふと夜空を見上げる。浮かぶおぼろ月。思うのは雨ではない。「道悪になるかもしれない」。ついつい、馬場のことを考えてしまう。
先週末の東京は微妙な空色だった。金曜が雨で、自転車に乗るのを諦めたほど。府中は開幕週でも時計は極端に速くならない。土曜に傘マークが並び、日曜は回復へ向かう。レース当日の芝は内から乾く。よって内枠が有利。先行馬なら言うことなし。毎日王冠は枠並びと絶好の2番枠を見て、素直にホウオウビスケッツ本命にたどり着いた。
過去3走で逃げたことがあるのはこの馬にヤマニンサルバム、シルトホルンの3頭だけ。いかにもスローペースが濃厚な顔触れ。展開も向く。また、鞍上の岩田康はインさばきが絶品。内枠の時は常に評価を上げている。先行押し切りが自然と目に浮かんだ。
土曜の東京芝は良からやや重へ。メインのサウジアラビアRCは芝1600メートルが舞台。勝ち馬こそ外一気差しだったが、2着から4着までが内々の立ち回り。内でも十分に走れる馬場を確認できた。◎への自信がグッと深まった。
かくして当日を迎えた。芝は良へ回復。9Rの昇仙峡S(3勝クラス)は芝2400メートルで勝ちタイム2分25秒8と標準的だった。ホウオウビスケッツは巴賞、函館記念と洋芝で連勝してきた。開幕週でパンパンの高速馬場より、少し時計がかかった方がいい。ベスト舞台が出来上がった。
内から好スタートを切り、労せずハナを切ることができた。単騎逃げで前半1000メートルは59秒4。理想的なラップを刻む。直線もギリギリまで追い出しを待ち、ラスト200メートルを過ぎて右ステッキが入る。先頭を守る。できた!その瞬間だった。外からシックスペンスの差し。首差だけかわされた。ルメールは土日東京で騎乗して、このレースまでに6勝。鞍上の勢いにやられた格好となった。
今回は展開と馬場読みがうまくはまった。中央競馬の枠番は一部を除き、基本的にレース前日の午前10時過ぎに発表される。短い時間でも出馬表を見て、展開を考える。思い描いたように本命馬が走ってくれれば最高の気分だ。今週の中央競馬は土、日、月曜の3日間開催。きっちりと先週のレースをおさらいして、予想へ向かう。
(小林 篤尚)