【浜田】ソダシの死角見抜き的中

2021年10月21日 10:00

 木曜のテーマは競馬。前週にクリーンヒットを放った記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週のG1秋華賞は東京本社予想・浜田公人記者が、4番人気アカイトリノムスメに敢然と本命を打ち◎☆▲でズバリ的中。断然人気のアイドルホース・ソダシの死角を見抜き、伏兵◎に至ったプロセスを振り返る。

 「赤」か「白」か。記者にとっての今年の秋華賞のテーマは、この一点だった。白毛ソダシの評価を下げた理由は、先週土曜(16日)付に記した通り。端的に言えば「春2冠に出走し、桜花賞よりオークスで着順を下げ、かつ掲示板(5着以内)を外した馬」が、秋華賞を勝ったことは皆無。ソダシは桜花賞を勝ちながら、オークスで8着に敗れた。札幌記念は確かに強かったのだが、より総合力を問われるオークスでの大敗が、どうにも気掛かりだった。

 対する◎アカイトリノムスメは桜花賞4着、オークス2着。白星こそないが、春2冠で最も安定した成績を残していた。国枝師が「母アパパネよりも成長曲線が緩やか」と評するように、春は心身共に明らかに幼い状態。調教自体も遠慮気味の印象だった。ただ、ひと夏を越し、良血は確実に進化。1週前追いでこれまでにないハード調教を課したことが、愛馬への信頼度が上がった証明だった。

 レースはエイシンヒテンが逃げ、ソダシがVポジションと言える2番手をキープ。この時点では正直「やられた」と思った。だが、4角を待たずして吉田隼の手が動く。これでは苦しい。対してアカイトリはがっちり好位をキープ。道中の位置取りが定まらなかった春2冠とは違う堂々とした運び。仕掛けのタイミングも抜群だった。ゴール前は外を伸びるルメール・ファインルージュ、内を突いた福永アンドヴァラナウトが迫ったが、脚色は見劣りなし。着差以上に安心して見ていられる内容だった。

 国枝師はこれで秋華賞3勝目。過去2勝はアパパネ、アーモンドアイと3冠制覇。そのアパパネの子でもぎ取ったラスト1冠は、今までとはひと味違う格別の勝利だろう。しかも4年連続の秋華賞連対。紫苑Sを使うプランがありながら、「夏から立ち上げるには、まだ頼りない」と、オークスからの直行を選択した戦略もズバリだった。

 ソダシはレース後に歯をぶつけて出血していたことが判明。今回の敗戦だけで判断はつかないが、メンタルの難しさを露呈したのは事実。一方、アカイトリはまだ成長途上。古馬となってG11勝に終わった母以上の活躍を期待したい。個人的には純和風な馬名がお気に入り。ぜひ日の丸を背負って、世界へ羽ばたいてほしいと願う。
 (浜田 公人)

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