【田井】◎ドルチェモア秘話 ゴール時の表情、ゴール後の挙動チェックすべし

2022年10月13日 10:00

 ▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。3日間開催の先週は3重賞が行われたが、最も3連単配当が高かった(12万9400円)サウジアラビアロイヤルCを的中した田井秀一記者がヒーローだ。快勝した新馬戦を目の前で見たアドバンテージがあったとはいえ、高い潜在能力を読み切ったのは見事だった。

 ◎ドルチェモアの単勝が望外の6・8倍もついたのは“数字”のおかげ。前走・新馬戦(札幌芝1500メートル)の勝ちタイム1分32秒2は今年の同コースの新馬戦で最も遅かった。キャリアが浅い2歳戦。馬柱に掲載されるのはこの一戦のみ。食指が動きにくかった要因の一つだろう。

 競馬記者は馬柱からは分からない情報こそ伝えなければならないと思っている。100メートル距離が延びた今回、前走と約1秒しか変わらない1分33秒4で走破できた理由はいくつもある。

 まずは何よりその馬体。当日の予想コラムでも書いた通り、僚馬ソダシと併せても見劣りしなかった躍動感は2歳馬離れしている。今回のパドック映像を見返してもらえれば一目瞭然だが、母アユサン譲りの筋肉量は他馬と比べ、群を抜いている。シンプルに一番いい馬なので本命を迷うことはなかった。

 では、なぜそんな馬の新馬戦の勝ちタイムがあんなに遅かったのか。当日は札幌競馬場で取材。やや重の発表以上に時計がかかるコンディションだった。翌日の札幌記念もあれだけのメンバーがそろって2分1秒2の決着だったことから、いかにタフだったかが分かる。加えて、ドルチェモアは全く力を出し切らずに圧勝。直線は鞍上の横山和が気合をつけただけ。ゴール時の馬の表情やゴール後の挙動はチェックすべきで、余力を残して走り切った馬の走破時計は全くあてにはならない。

 3連単12万超の高配当の立役者は大逃げを打った2着グラニット。こちらは7月に「書く書くしかじか」コラムで取り上げたダノンバラードの産駒。ビッグレッドファーム取材時に、ダノンバラードの流麗な馬体に思わず一目ぼれ。種牡馬としての成功を確信した次第で、現2歳世代の“初年度産駒”(海外で種牡馬生活を送っていたが19年から国内で種付け)は買い続ければプラス収支の状態が、もう5カ月も継続している。新潟2歳Sをキタウイングが勝ったように重賞の壁もなし。取りあえずダノンバラード産駒を見つけたら買っておけばいい。

 馬体を分析し、一番強いと思う馬に本命を打つスタイル。出走馬が全能力を出し切りやすい府中が稼ぎどころなので、4日目以降も投資額を増やして馬券を楽しみたい。 (田井 秀一)

特集

この記者のコラム

他の記者のコラム